朝のインド・ジャイプール、湖の向こうに黄金の城が現れた
みなさま、こんにちは(^^♪
私たちユルバ夫婦(73歳)は、A旅行社のツアー「復路ビジネスクラス利用・8つの世界遺産をめぐるインド5日間」に参加しました。
ジャイプールのホテルを7時半に出発したバスが、しばらく走ったところで止まりました。
窓の外を見ると——湖の向こうに、丘の上から丘の上へと連なる城壁が、朝の光を受けて黄金色に輝いていました。空には鳥が羽ばたいています。

「これが…城?」思わず声が出ました。山ひとつを丸ごと要塞にしたような、圧倒的なスケール。湖面に映り込んだ逆さ城が、その威容をさらに引き立てていました。インドに来てよかった、と感激した瞬間のひとつです。
アンベール城とはどんな場所か
アンベール城は、ラジャスタン州の州都ジャイプールから北へ約11キロ、アラバリー山脈の尾根に築かれた城砦宮殿です。
建設を命じたのは、ラージプート族の王マン・スィング1世。ムガル帝国のアクバル大帝に仕えた有力な武将で、1592年に着工しました。その後の王たちによって増築が続けられ、現在の姿になるまでに約100年の歳月がかかっています。
注目すべきはその政治的背景です。ラージプート族はもともとヒンドゥー系の戦士階級で、イスラム系ムガル帝国とは宗教も文化も異なります。しかし賢明なアクバル大帝はラージプート族と同盟を結び、マン・スィングをはじめとする王たちを帝国の重臣として取り立てました。アンベール城はその同盟の象徴でもあり、ヒンドゥーとイスラムの建築様式が美しく融合した空間が生まれた背景には、この複雑な政治的関係があります。
2013年にユネスコ世界遺産「ラジャスタンの丘陵城塞群」の一部として登録されました。
以前は象で、今はジープで――城への道
アンベール城への上り道は、かつては象の背に乗って登るのが名物でした。優雅に揺れながら石畳の坂道を上がる象——それ自体がアンベール城観光の見どころのひとつでした。
しかし象の転落事故をきっかけに、現在はジープによる送迎に変わっています。

5人乗りのジープに乗り込んだ瞬間から、それは始まりました。ドアなし、窓なし。手でつかまるところを探しながら、急な坂道を一気に駆け上がります。道は凸凹で、カーブでは対向車と鼻先がぶつかりそうになって急停止、バックして前進——。スピードは遅くありません。
私(ユルバ)は途中で少し酔ってしまいました。73歳の身体にはなかなかハードなアトラクションでしたが、これもインドの洗礼のひとつ。中継所に到着したときには、思わずほっと息をつきました。
シニア旅行者へのひとこと: 三半規管が弱い方、腰に不安がある方は、運転手さんにチップを渡してゆるい運転をお願いするのもいいですね。歩くと30分かかりますので、徒歩の選択肢はありません。ジープは揺れとスピードが想像以上ですので、過信は禁物です。
城壁から見下ろす絶景
中継所に着いて、バスを降りた瞬間の眺めがこれです。猛暑の中、涼しい風が吹いています。

丘の稜線に沿って続く城壁、その向こうに広がる山並み。城壁の上から眼下を見ると、小さな町の屋根が広がり、遠くの丘の上にはジャイガル城がたたずんでいます。

この景色を見たとき、先ほどのジープの揺れも酔いも、すっかり忘れてしまいました。「登ってきてよかった」という気持ちが、静かにこみ上げてきました。
石段を登って奥殿へ そして——
中継所から奥殿へは、石段を歩いて登ります。

黄金色の砂岩のアーチをくぐり、石段を一段一段登っていきます。写真の中の私の白い帽子と杖が、この旅の正直さを表しています。

ところが、途中で私の体調が急変しました。気分が悪くなり、嘔吐してしまったのです。ジープの揺れの疲れと、5月の強烈な暑さが重なったのでしょう。
インドの人の優しさに救われた
ガイドさんは素早く判断してくださいました。観光地内に友人がいることを思い出し、私たち夫婦をその方に託し、他のツアー客の案内へと戻っていきました。
その友人さんが、また素晴らしい方でした。言葉が通じません。夫がスマートフォンのGoogle翻訳で、日本語とヒンディー語を切り替えながら「大変お世話になりましてありがとうございます、よろしくおねがいします」と伝えると——友人さんは大きな声で笑いながら、英語で「大丈夫です、心配いりません、ガイドさんにここにいることを伝えます」と電話してくださいました。
そしてそっと立ち去って、消えていかれました。

案内していただいた休憩所のトイレ前の部屋がこちらです。

ボランティアのような女性スタッフがおられ、嘔吐したものを処理してくださり、ティッシュまで渡してくださいました。トイレはとても清潔で、それだけでほっとしました。帰りも付き添ってくださり、チップを求められましたが持ち合わせがなく「ないです」と伝えると、笑顔でうなずいてくださいました。
どこへ行っても、インドの人は優しかった。この旅で何度も感じたことですが、アンベール城での体験は特に心に刻まれています。
やがてガイドさん一行が戻ってきました。夫がガイドさんに「お友達にチップを渡したい、いくらくらいが良いですか」と尋ねると「気持ちですからいくらでも」と。「200と300どちらが良いですか」と重ねて聞くと「300ルピー」。夫は500ルピーをガイドさんに託しました。
城内の見どころ 謁見の間と黄金の宮殿
体調が回復した後、ガイドさんに連れられて城内の主要な場所を見学しました。

広大な中庭に面した**ディーワーン・イ・アーム(公開謁見の間)**は、王が民衆の訴えを聞いた場所です。柱廊の精緻な彫刻、赤砂岩と白大理石のコントラストが美しく、ムガルとラージプートの様式が見事に溶け合っています。

この建物の奥には**シーシュ・マハル(鏡の間)**があります。天井と壁面を無数の鏡のタイルで埋め尽くした部屋で、ろうそく一本の明かりで全体が星空のように輝くといわれています。王妃のために造られたこの部屋は、「愛の宮殿」とも呼ばれます。
再びジープで丘を下りる
見学を終え、再びジープで丘を下りました。
登りよりも下りの方が、坂の急さが体に伝わります。スプリングが相当傷んでいるようで、凸凹のたびに腰に響きました。夫が「日本の中古車の評判が身にしみてわかった」とつぶやいたのが忘れられません。
それと対照的だったのが、旅行社が契約していた観光バスです。6脚の応接間のような椅子が並ぶ高級車で、毎日200キロ以上走っても快適でした。ジープの後のバスの座席が、いつも以上に極楽に感じられました。

シニア旅行者へ アンベール城の実用情報
ジープについて
ドアと窓がなく天井は幌のオープン型で、荷物は膝の上か床に置くことになります。揺れが激しいため、乗り物酔いしやすい方で、足腰の強い方は徒歩での登城も検討してください。所要約30分、石畳の上り坂です。ツアー客の方は時間的に難しいですね。
城内の歩行について
入口から奥殿まで、石段と石畳が続きます。杖があると安心です。インドでは杖を使う人に会いませんでした。珍しがられジロジロと見られましたが、旅の恥はかき捨てです。インドどは楽な方が、見た目より優先されます。日陰は少なく、5月は35℃以上になります。こまめな水分補給と、無理のないペース配分を強くおすすめします。
トイレについて
城内の中継所付近に休憩室・トイレがあります。清潔に保たれており、安心して利用できました。ただし紙がない場合があるため、携帯用ティッシュは必携です。
Google翻訳の活用
言葉が通じない場面でも、Google翻訳のヒンディー語対応は非常に役立ちました。音声入力で日本語を話すとヒンディー語に変換されます。インド旅行の必携アプリです。

まとめ アンベール城は「体験する」場所だった
アンベール城は、眺めるだけで終わらない場所です。
ジープの揺れ、石段の急さ、強烈な暑さ——それらは確かにシニアの身には堪えます。でも、その分だけ出会いがありました。言葉の通じない土地で、見知らぬ人に助けてもらった体験。笑顔で立ち去った友人さん、チップなしで笑顔を返してくれたスタッフさん。
インドの人々の温かさは、観光地の外にこそありました。
湖に映る黄金の城と人々の温かさを、私たちはきっと一生忘れません。

基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | アンベール城(ラジャスタンの丘陵城塞群の一部) |
| 世界遺産登録 | 2013年(文化遺産) |
| 建造年 | 1592年着工、約100年かけて完成 |
| 所在地 | ラジャスタン州ジャイプール北部、アンベール地区 |
| 開館時間 | 8:00〜17:30 |
| 入場料 | 外国人:約550ルピー(2025年時点) |
| アクセス | ジャイプール市内から車で約30分 |
| 城内移動 | ジープ(片道約200ルピー目安)または徒歩約30分 |
ありがとうございました。
See you(^^♪

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