インド・アグラ城|赤き城に刻まれた愛と悲哀のムガル帝国|73歳夫婦が見る

人生エッセイ(芸術・文化・日常・生き方)

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みなさま、こんにちは(^^♪

私たちユルバ夫婦(73歳)は、A旅行社のツアー「復路ビジネスクラス利用・8つの世界遺産をめぐるインド5日間」に参加しました。

タージマハルの感動も胸に抱いたまま、バスでわずか15分。インド世界遺産見学ツアーの最後、8番目の目的地「アグラ城」へと向かいました。

▲入場口広場・電動カート乗り場

電動カートに乗り込み、金色に輝く騎馬像のそびえる入場口へ。英雄の像が迎えてくれます。

▲金色の騎馬像と周辺のオートリキシャ

入り口に立つと、巨大な赤砂岩の円筒形の塔を持つ城門「アマル・スィン門」が目に飛び込んできました。その圧倒的な存在感に思わず足が止まります。

▲アマル・スィン門・正面

門をくぐると、さらに奥にもう一つの砦のような門が現れます。高い壁の間の石畳の通路が続き、思わず中世の要塞に迷い込んだような錯覚を覚えます。

▲城壁の間の通路・ユルバが影でちょっと休憩

▲二重の門と観光客の流れ

▲内側から見た第二の門・光と影

ガイドさんが教えてくださいました。「この曲がりくねった通路や二重三重の門は、敵が攻め込んできたときの防御のため。馬が直進できないよう設計されているのです」。日本の城と同じ発想に、思わず「なるほど!」と頷きました。

▲通路のアーチ越しに見える風景

▲城壁の外観・棕櫚の木と壁

▲第3の門に入ります

急な石段を上りきると、視界が一気に開けます。広い芝生の庭園に、涼しい風がそっと頬をなでました。猛烈な直射日光の下での見学が続いていただけに、その一瞬の安らぎが心に沁みました。

▲ジャハーンギール宮殿の外観

宮殿の前には、王様が入ったという巨大な石製の移動用浴槽が置かれていました。ずっしりと重そうなその石風呂の足元では、リスが暑さにぐったりしながらも愛らしい姿を見せてくれました。

▲石製の浴槽

▲インドではこの野生のリスをあちこちで見かけました

日陰に入り、ガイドさんの説明が始まりました。ここはムガル帝国5代皇帝シャー・ジャハーンが治めた城。タージマハルを建てた、あの皇帝です。ムガル帝国は17代、約300年続いたといいます。ちょうど徳川時代・清朝・李朝と同じ時代を生きた帝国です。「ムガル」とはペルシア語でモンゴルを意味し、征服王朝として興り、後にイギリス植民地時代に滅んだ——その歴史の重さが、アジアの宿命として胸に迫りました。

▲ジャハーンギール宮殿の正面・六芒星の装飾

建物の中に入ると、幾何学的な美しい紋様が壁と天井を埋め尽くしています。ガイドさんが教えてくださいました。「六角形はイスラム、八角形はヒンドゥー。5代皇帝は宗教融和を図り、両者の美を一つに融合させたのです」。赤砂岩の外壁と、白大理石で飾られた内部。その対比が、この城の奥深さを物語っています。

▲:宮殿外壁の装飾と六芒星

▲ディーワーン・イ・アームの天井彫刻

▲ジャハーンギール宮殿内部・柱廊と天井

▲ドームの内側・レンガの螺旋構造

壁の内部は空洞になっており、ガイドさんが実演してくださいました。壁に向かって声を出すと、反対側の壁にはっきりと伝わるのです。多くの観光客が試すのでしょう、壁の表面が黒く磨り減っていました。

▲壁の落書き・経年劣化の壁面、ここに耳を当てて聞きました

外に出ると、いよいよこの城の最も胸に迫る場所へ案内されました。

ムサンマン・ブルジュ——「囚われの塔」と呼ばれる八角形の塔です。5代皇帝シャー・ジャハーンは晩年、実の息子(3男)によってここに幽閉されました。長男を後継に指名したにもかかわらず、3男が異議を唱えて反乱を起こし、兄を倒して皇帝の座につきました。他の兄弟も全て命を絶たれたといいます。父王は息子の長男と密かに連絡を取り続けたため、この塔に閉じ込められたのです。

そして8年後、晩年の皇帝はここで息を引き取りました。

▲白大理石の欄干越しに見えるタージマハル

塔のベランダからヤムナー川の対岸を見ると、霞の彼方にタージマハルの白い姿がぼんやりと浮かんでいます。愛妃ムムターズ・マハルのために建てたあの廟を、老いた皇帝は毎日この場所から眺めながら、8年間を過ごしたといいます。

▲アグラ城から望むタージマハル・全景

400年前の晩年の王様の胸中——愛する妃への想い、息子への複雑な感情、失った権力への諦め——を、霞んで見えるタージマハルに重ねながら、しばし言葉を失いました。

▲カース・マハル(白大理石の宮殿)の中庭

▲カース・マハルと八角形のドーム

ガイドさんが「ここが最高の写真スポットです」と教えてくれた場所がありました。白大理石の部屋の暗い内部から、明るい出入り口の光を額縁のように捉えると、その枠の中に幾何学的な紋様が重なり合う、唯一無二の構図が生まれます。

▲暗い室内から見た出入り口フレームのユルバ(大)

▲少し離れて壁の文様が怪しげに現れる(中)

▲両手を広げたユルバ・室内の幾何学紋様(小)

ここに来なければ撮れない、この旅だけの記念写真になりました。

出口に近づくと、「AGRA FORT」と刻まれた世界遺産の金色の銘板が目に入りました。

▲世界遺産の金色の銘板

8つ目の世界遺産の見学が、静かに幕を閉じました。

ムガル帝国の栄耀栄華、皇帝の深いと晩年の悲哀、そして骨肉の権力争い——それらすべてを赤い城壁の中に刻んだアグラ城は、タージマハルと表裏一体の物語を持つ世界遺産でした。

インド8つの世界遺産を巡るこの旅で、私たちは歴史・宗教・人間ドラマを肌で感じました。来る前は知らなかったインドの奥深さを、この赤い城がしっかりと教えてくれました。

シニア旅行者へのTips 🌿

  • アグラ城は入口から電動カートを利用できます(別料金)。足への負担が大きく軽減されます。
  • 城内は石畳と急な石段が多いため、杖や歩きやすい靴は必須です。
  • 5月の直射日光は非常に強烈。日傘・帽子・こまめな水分補給をお忘れなく。
  • 「囚われの塔」からのタージマハル眺望は必見ですが、混雑するため早めの到着がおすすめです。

ありがとうございました。

See you(^^♪

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