はじめに
みなさま、こんにちは(^^♪
旅行がてら首都圏へ出かけ、息子夫婦の家を訪ねました。
その際、お嫁さんから
「せっかく東京に来られたのですから、評判のモネ展をぜひご覧になってください」
と勧められました。
私たち夫婦は若い頃から印象派が大好きです。
予定にはなかったものの、これは行かないわけにはいきません。
急きょ調べながら、「モネ 連作の情景」展を訪れることにしました。
事前に気になったこと
計画外の行動でしたので、いくつか確認したい点が浮かびました。
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モネとはどんな画家なのか
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上野の森美術館はどこにあり、どんな美術館なのか
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展覧会の開催趣旨
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モネ100%の展示とは、どのような構成なのか
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地方から来た高齢夫婦でも、体力的に無理はないか
事前にこれらを調べておいたことが、結果的に大正解でした。

▲クロード・モネ
モネとはどんな画家ですか?
クロード・モネ(1840〜1926)は、印象派を代表するフランスの画家です。
代表作「印象・日の出(1872年)」は、印象派という名称の由来にもなりました。
86年に及ぶ生涯で、油彩画だけでも2,000点以上を制作。
モネは「対象そのものの色」ではなく、刻々と変化する光や空気が生む“印象”を描くことを追求しました。
特に連作の時代には、光そのものが主役となり、形は色彩と光の中に溶け込んでいきます。
その鋭敏な感受性と観察眼は、今なお世界中の人々を魅了しています。

▲モネ展の開かれる「上野の森美術館」
上野の森美術館とは?
上野の森美術館は、上野恩賜公園内、西郷隆盛像の近くにあります。
1879年設立の日本美術協会が母体となり、1972年にフジサンケイグループにより開館しました。
公園内で唯一の私立美術館として、
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VOCA展
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上野の森美術館大賞展
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日本の自然を描く展
など、多彩で意欲的な企画展を開催しています。

▲「モネ 連作の情景」鑑賞に並ぶ人々
開催趣旨「モネ 連作の情景」
1874年の第1回印象派展から150年。
その節目を記念し、モネ作品60点以上を一堂に集めた、まさにモネ100%の展覧会です。
日本初公開の大作「昼食」から、「積みわら」「睡蓮」へと至る軌跡を、
5章構成で丁寧にたどります。

▲モネの終の住処、水の庭の美しい映像
展示構成(全5章)
展示構成は、第1章から第5章と五つに分かりやすく展示されていました。

▲「印象・日の出」我が家のレプリカです
第1章「印象派以前のモネ」(10点)
モネは、サロン(官展)で2年連続の入選をします。
次の年から、サロンは新しい表現に不寛容になり落選が続きます。当時の落選した絵画、刺激的な「昼食」が日本初公開されました。
第1章は、「印象派以前のモネ」で、「ザーンダムの港」「昼食」「ルーヴル河岸」などが展示されています。
「昼食」の落選理由は歴史画に使われる大画面に日常画を書いたことが嫌われたそうです。美しい色合いが特徴のモネの、黒い絵に興味が湧きました。

▲ジヴェルニーの花の庭の芍薬も描かれ
第2章「印象派の画家・モネ」(15点)
マネやルノワールなどの同志たちと、新たなグループ展を構想します。1874年春にパリで開催された「第1回印象派展」が開催されます。
来年が、その150年の節目となります。その時、印象派の由来となったモネの「印象・日の出」は出展されていません。
第2章の「印象派の画家・モネ」では、「モネのアトリエ舟」「ヴェトゥイユの教会」「ヴェトゥイユの春」などが展示されています。
ここでは、マネやルノワールなどの同志たち「印象派」と立ち上げる、モネの信念を感じる展示場でした。
モネの美しい色彩や、柔らかな光を感じる平安と安らぎを与える絵画に、再び感動しました。

▲「ジヴェルニーの洪水」悲しみの中の水の美しさを感じました
第3章「テーマへの集中」(17点)
新たな画題を求めて、ヨーロッパ各地を旅し、一つの場所に数ヶ月滞在したり、また繰り返し通いながら制作を試みました。
一つのテーマに多角的(時間、季節、天候など)に打ち込む作風が、後の「連作」に至ることを予感させます。
第3章の「テーマへの集中」では、「ヴァランジュヴィル付近の崖の小屋」「ヴァランジュヴィルの崖のくぼみの道」「ヴァランジュヴィル付近の崖の小屋」が展示されモネの熱意を感じました。
この海辺を表現されているものに、滲みのある作品と、クリアな筆致で描かれた作品の両方が展示されており、ひとつのテーマに多角的に取り組む「連作」を感じました。

▲朝靄の太陽の光が海面に反射する光と影の表現が絶妙です
第4章「連作の画家、モネ」(13点)
モネが体系的に「連作」を手がけるようになった最初のモチーフが、「積みわら」だと考えられています。
ロンドンの「ウォータールー橋」を数年にわたって描いた「ウォータールー橋、曇り:1900」、「ウォータールー橋、ロンドン、夕暮れ:1904」、「ウォータールー橋、ロンドン、日没:1904」を観ることができます。
「連作」には、歌川広重の「東都名所」などの浮世絵からも影響を受けたようです。
モネの絵は数十億円で取引されますが、2019年のニュースでは、モネの「積みわら」が約122億円で落札し、印象派の過去最高額を更新したそうです。
第4章の「連作の画家・モネ」では、「ジヴェルニーの積みわら」「積みわら」「積みわら、雪の効果」を観ることができます。
「連作」といえば「積みわら」ですが、モネは南フランスの素朴な秋の風物詩の光の様子を、鋭い感性で表現したのだと思います。

▲太鼓橋と睡蓮、メトロポリタン美術館で鑑賞しました
第5章「睡蓮とジヴェルニーの庭」(11点)
後半生を過ごしたジヴェルニーの自宅に「花の庭」と、睡蓮の池のある「水の庭」を作りますが、睡蓮の池を集中的に描くようになりました。
「睡蓮・第1連作」は、日本風の太鼓橋を中心とした構図でした。
「睡蓮・第2連作」では、睡蓮の花や葉、さらに水面への反映が中心になりました。
第5章の「睡蓮とジヴェルニーの庭」では、「黄昏時の流水」「睡蓮の池」「薔薇の中の家」などを鑑賞できます。

▲光を浴びる睡蓮の可憐さが映える我が家のレプリカです
晩年に過ごした自宅の庭では、目も悪くする中、水の庭の睡蓮を精力的に描きました。
モネは、浮世絵の収蔵品が多いことからも、日本の芸術に大きな関心を持っていたと思われます。
死の前年に描かれた「薔薇の中の家」は、余白があり、作者の創作の息づかいを感じました。
ジヴェルニーの「睡蓮の池:1918」が、同地での最晩年に手がけた作品であり、モネの一生を成就した作品の一つと思いました。
一点一点を間近で鑑賞でき、画家の息づかいまで感じられる展示でした。

▲ジヴェルニーの睡蓮の池はモネの集大成でしょうか
シニア夫婦でも大丈夫?
最終日の午前中、体力を考えてタクシーを利用。
事前予約制・時間指定入場のおかげで、長時間並ぶこともなく、
約1時間でゆったりと鑑賞できました。
音声ガイドは、芳根京子さんと下野紘さんの案内が素晴らしく、
映像と音楽が相まって、感動をより深めてくれました。

▲映像と立体エントランスでモネの家に居る錯覚を感じる
鑑賞を終えて
60数点のモネ作品を一気に鑑賞し、
光・水・色彩・空気が身体を巡るような不思議な感覚に包まれました。
今年一年の心の澱が洗われ、
「人生の浄化」をしていただいたような時間でした。

▲「モネ 連作の情景」の看板を掲げる上野の森美術
まとめ
急な決断でしたが、事前に調べ、無理をせず訪れたことで、
シニア夫婦でも安心して心から感動できる展覧会でした。

▲「睡蓮 水の習作 朝」柔らかい光と水の反射の色彩は安らぎを醸し出します
自宅でレプリカを眺めてきた私たちにとって、
本物のモネを60数点、これほど近くで一度に観られたことは、
まさに人生の宝物です。
冥土の土産にふさわしい、忘れられない一日となりました。
「沖縄美術館」「北九州美術館」もブログに書きましたので、よろしかったらご覧ください。
ありがとうございました。
See you(^^♪


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