はじめに
みなさま、こんにちは(^^♪
私はクラシックコンサートを聴くことを趣味にしており、これまでは主に地方のコンサートホールに通って楽しんでいました。
子育ても終わり、シニアになって時間に余裕ができ、
「一度は東京・サントリーホールで聴いてみたい」
という夢を心の中で温めていました。
そんなある日、夫がこう言いました。
「10数年前に聴いたベルリン・フィルが来日するから、11/20のチケットを予約したよ。しかもサントリーホール公演だよ」
私は思わず飛び上がりました!
世界最高峰のオーケストラを、日本有数のホールで聴けるなんて——。
「長生きしていてよかった」と、心の底から思いました。
うれしさで胸がいっぱいになる一方で、心配も浮かんできました。
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日本一のサントリーホールって、どんなホールなんだろう?
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世界最高峰といわれるベルリン・フィルって何がすごいの?
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指揮者キリル・ペトレンコさんは、どんな方?
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今回の日本公演にはどんな意義があるの?
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地方から来る高齢夫婦でも、ちゃんと楽しめるだろうか?
最低限のことを勉強してから、ありがたく聴かせていただきたいと思いました。

▲サントリーホールの案内板
日本一の「サントリーホール」はどんなホールだろうか?
サントリーホールは、東京で最初のコンサート専用ホールとして、
「世界一美しい響き」 をコンセプトに1986年に誕生しました。
日本で初めて、客席がステージを囲むヴィンヤード(葡萄畑)形式を採用したことでも有名です。
その根底には、サントリー創業者・鳥井信治郎の
「お客様第一」「事業拡大」「社会還元」という利益三分主義の哲学があります。
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年間500本以上のコンサート
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延べ60万人以上の来場者
多くの人に音楽の喜びを届けている、日本を代表するホールです。
ヴィンヤード形式の採用は、カラヤンの助言を受けた佐治敬三氏が、
「ほな、そうしましょ」と即決したというエピソードが残っています。
また、5,898本ものパイプを持つ世界最大級のパイプオルガンも圧巻です。
これもカラヤンの
「オルガンのないホールは、家具のない家のようなものだ」
という言葉がきっかけで設置されたそうです。

▲ベルリンテレビ塔はベルリンのランドマーク
世界最高峰の「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」とは?
世界三大オーケストラとしてよく挙げられるのが、
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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
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ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
その中でもベルリン・フィルは1882年創立。
ドイツを代表する、まさに世界最高峰の管弦楽団です。
歴代の首席指揮者には、カラヤンをはじめ、アバド、ラトル、メータなど、
クラシック史に残る名指揮者たちが名を連ねます。
現在は3人の第一コンサートマスターのひとりとして、
日本人ヴァイオリニストの樫本大進さんも在籍。
日本のクラシックファンにとっても誇らしい存在です。
2009年からは「デジタル・コンサートホール」で世界に演奏を配信し、
2014年には自前レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」も設立。
UNHCRをサポートし、音楽大使として難民支援に取り組むなど、
21世紀型オーケストラとして社会貢献も続けています。

▲受付に貼られたポスター
指揮者「キリル・ペトレンコ」さんはどんな方?
キリル・ペトレンコさんは1972年生まれ。
ウクライナ出身のヴァイオリニストを父に、音楽学者を母に持つ音楽一家で育ちました。
11歳でピアニストとしてデビューし、その後ウィーン国立大学で指揮を学びます。
各地の歌劇場で研鑽を積み、音楽監督や首席指揮者として次々と実績を重ねました。
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2013年 バイエルン国立歌劇場 音楽監督就任
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2019年 ベルリン・フィル 首席指揮者・芸術監督就任
現在は、ドイツ最大級の予算を持つオーケストラと歌劇場の両方を率いる、
非常に重要なポジションに立っています。
ベルリン・フィルとの共演では、
古典派・ロマン派の名曲に加え、スークやコルンゴルド、ロシア作品など
あまり知られていない名曲にも光を当てるプログラムが特徴です。

▲カラヤン(イメージ)
今回の日本公演の意義は?
主催者の案内では、今回の日本公演について次のように紹介されています(要約)。
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ベルリン・フィル 4年ぶりの来日公演
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11月14日〜26日の間に全国6都市で全10公演
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1957年初来日以来、今回で24回目の日本公演
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カラヤン、小澤征爾、アバド、ヤンソンス、ラトル、メータらが歴史を刻んできた
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2019年に首席指揮者に就任したキリル・ペトレンコとの初来日公演
まさに「日本での外来オーケストラ公演史に刻まれる、今年度最注目の公演」と言える内容です。
コロナ禍明けの年に、このような演奏会に立ち会えることは、
シニアの私にとって望外の喜びでした。

▲サントリーホールの正面
地方から高齢夫婦が初めて行って楽しめるだろうか?
実は、一番の心配はここでした。
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コロナ禍以降、久しぶりの東京
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夜の公演なので、体力は持つか
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初めてのサントリーホールで迷子にならないか
不安でいっぱいでしたが、結果は——
**「案ずるより産むが易し」**でした。
降車駅の13番出口を目指すと、周りはコンサートに向かう人ばかり。
皆さんの後ろ姿について歩いていくと、迷うことなく受付前に到着しました。
ホール内も、座席の配置がわかりやすく、トイレも近くにあって安心。
何より、素人の私でも驚くほどの音響の良さで、
「来てよかった」と心から思いました。

▲溜池山王13番出口
溜池山王駅からサントリーホールへ(当日の様子)
秋葉原のホテルからJRで新橋へ、
東京メトロに乗り換えて溜池山王駅で下車しました。
昔、息子の勤務先を訪ねたときに降りた駅で、
どこか懐かしさもありますが、夜で暗く、道が分かりません。
頼みの夫も目があまり良くなく、
「高齢の田舎者が夜の東京でサントリーホールにたどり着けるかしら」と不安になってきました。
東京の若い方々の歩く速さに、私はどんどん遅れてしまいます。
それでも「きっと同じ目的地だろう」と信じてついて行くと、
ちょっと遠回りしたものの、気がつけばサントリーホールの受付前。
「やれやれ、ラッキー!!」
思わずそう口に出てしまいました。

▲受付はごった返していた
チケットを提示して入館。
協賛の龍角散さんから、のど飴をいただきました。
席は、前から3列目の右寄り。
着席したのは開演20分前で、ちょうどよい時間でした。
初めて見るヴィンヤード形式のホール、
天井までそびえるパイプオルガン——。
「いつか向かいの席にも座って周りを見てみたいな」と夢が広がりました。

▲開演前のホールの左側
ペトレンコ&ベルリン・フィル東京公演初日が始まる
19時ちょうど、楽員の方々が拍手に迎えられて入場。
続いてコンサートマスター、そしてペトレンコさんが登場すると、
一段と大きな拍手がホールを包みました。
「世界一の音響を目指すサントリーホールで、
世界最高峰のオーケストラを聴いている——」
そう思った瞬間、胸が震えました。
この日のプログラムBは、
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レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ op.132
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R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」op.40
前半のレーガーは、生誕150年の節目の年。
モーツァルトのトルコ行進曲のおなじみの主題が、
柔らかく、しなやかに、しかし次第に重厚さを増しながら響いていきます。
フーガでは、これまで聴いたことのないような迫力に圧倒されました。
複雑な和声が、ペトレンコさんの手で見事に整理され、
一本の大きな流れとなって押し寄せてきます。
20分の休憩を挟んで、いよいよ後半です。

▲オーケストラの演奏(イメージ)
万雷の拍手鳴りやまず!
後半は、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。
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英雄
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英雄の敵
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英雄の伴侶
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英雄の戦場
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英雄の業績
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英雄の隠遁と完成

▲演奏する奏者(イメージ)
英雄の一生を一気に描き出す、壮大な作品です。
英雄の堂々たるテーマ、皮肉たっぷりの敵の動機、
甘美で複雑な伴侶との愛、
戦場でのトランペットとフルオーケストラの大爆発——。
音楽がうねり、ぶつかり合い、ときにささやき、
終盤では老いた英雄が静かに人生を振り返るような場面へと移っていきます。
ヴァイオリン・ソロの樫本大進さん、
オーボエのマイヤーさん、ホルンのドールさん、
フルートのパユさん、クラリネットのフックスさん……。
世界最高水準のソリストたちの音が、
それぞれに強烈な個性を放ちながら、
最後はペトレンコさんの指揮のもと、一つの大きな渦となっていきました。

▲壮絶な演奏(イメージ)
一人一人が悍馬のように全力で駆けながら、
それでも群れとして完璧な統一感を保っている——。
そんな印象でした。
クライマックスのあとに訪れる静寂は、
胸が焼けるような余韻を残しました。
そして一瞬の静けさの後、万雷の拍手!!
ブラボーの声とともに、拍手はなかなか鳴り止みません。
最後はペトレンコさんのソロ・カーテンコールで、東京公演初日の幕が閉じました。
「これぞ世界一のオケと、世界一のホールのなす技か」と、ただ呆然。
自分の人生の中の黒歴史までも、
すべて洗い流してくださったような気持ちになりました。
古希を過ぎた今、この場にいられた幸運を、何度もかみしめました。

▲感激に沸くホール
会場を出ると、カラヤン通りのイルミネーションがきらめいていました。
今年も国内外で、そして自分の心の中でも、
嬉しいことも悲しいこともいろいろありました。
それらすべてを、音楽がそっと洗い清めてくれたように感じました。
ペトレンコさん、ベルリン・フィルの皆さん、
主催のフジテレビさん、サントリーホールのスタッフの皆さん。
この夜を支えてくださったすべての方々に、心から感謝を捧げます。

▲イルミネーションに染まるカラヤン通り
来日公演の内容
ベルリン・フィル来日公演(サントリーホール)は、次の2つのプログラムで行われました。
プログラムA
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モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 K.201
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ベルク:オーケストラのための3つの小品 op.6
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ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 op.98
プログラムB
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レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ op.132
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R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」op.40
私は、このプログラムBの初日公演を聴かせていただきました。

▲演奏に集中する奏者(イメージ)
天皇陛下が世界的オケ鑑賞は即位後初!
後日ニュースを見て、とても嬉しくなったことがあります。
東京公演最終日の11月26日、
天皇陛下がサントリーホールでベルリン・フィルの公演を鑑賞されたというのです。
ビオラを演奏され、クラシック音楽にも造詣の深い陛下が、
世界的オーケストラの公演を鑑賞されるのは、即位後初とのこと。
約2時間にわたり、時折身を乗り出すようにして演奏に耳を傾け、
カーテンコールではうなずきながら大きな拍手を送られたそうです。
雅子さまや愛子さまは同席されませんでしたが、
ご公務でお忙しい中、時間を割いて足を運ばれたことに胸を打たれました。
同じ年に同じホールで、同じオーケストラの演奏を聴けたことを、
国民の一人として誇らしく、嬉しく思いました。

▲オーケストラのハープ(イメージ)
まとめ
東京・サントリーホールで、
世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルの公演を聴く——。
シニアの私にとって、まさに人生のハイライトの一つになりました。
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サントリーホールは「世界一美しい響き」を目指す、日本初の本格コンサートホール。
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ベルリン・フィルは、世界三大オーケストラの一つで、1882年創立の名門。
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キリル・ペトレンコさんは、ベルリン・フィル首席指揮者・芸術監督として、古典から近現代まで幅広いレパートリーでオケの魅力を引き出す名指揮者。
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4年ぶり24回目の来日となる今回の公演は、日本の演奏史に残る特別なツアー。
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地方からの高齢夫婦でも、「案ずるより産むが易し」で、十分に楽しむことができました。

▲サントリーホールの壁面
全国の地方にお住まいのシニアのクラシックファンのみなさま。
もし体力とご縁が許すなら、一度サントリーホールに出かけてみませんか?
歳を重ねるほど、「思い出」は心の大切な財産になります。
私は幸運にも、「最高の音楽」を「最高の場所」で、
まだ自分の足で歩けるうちに体験することができました。
この夜の音と光と感動は、きっと一生忘れないでしょう。
このような機会に恵まれたことを、家族や友人、
そして関わってくださったすべての皆様に、心から感謝いたします。
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