北九州「ゆうゆう壱番館」創業者・濱村和明の経営哲学に迫る⑤

健やかに暮らすヒント(衣・食・住・健康)

はじめに

みなさま、こんにちは(^^♪

住宅型有料老人ホーム見学シリーズ第5弾。「ゆうゆう壱番館」で感じた感動の原点を探ると、創業者・濱村和明さんの経営哲学、そして妻・泰子さんと娘・美和さんへと受け継がれた想いに辿り着きました。老後の住まい選び、経営を学ぶ方にもぜひどうぞ。

経営哲学が細部まで浸透する「ゆうゆう壱番館」

夫婦74歳の私たちは、終の住処を求めて10箇所の「住宅型有料老人ホーム」見学を目標に立てています。4箇所目にお伺いしたのが、北九州市の「ゆうゆう壱番館」さんでした。

前回のブログに書きましたとおり、21時間の滞在中は感動の連続でした。築38年にもかかわらず建物の外観・内部は光り輝き、写真で見ていたものとはまるで印象が違いました。職員さんは「お帰りなさい」「行ってらっしゃい」と、さりげなく家族同然のやさしさで接してくださいます。それは作られた笑顔ではなく自然なもので、気配りが隅々まで行き届いていました。お会いした入居者さんも皆さん、やさしい眼差しで品よく挨拶をされる方ばかりでした。

施設を訪問する前に、創業者・濱村和明さんの経営哲学を少し調べていたのですが、その志が職員さんや入居者さんにまで受け継がれ、刻まれていることを肌で実感しました。お別れの際には、80歳の会長・濱村泰子さんにも直接お会いでき、そのお人柄と雰囲気に魅了されました。

そんな経緯から、「濱村和明氏の経営哲学」を少しでも皆さまにお伝えしたいという気持ちが湧いてきました。お時間のある方は、ぜひご一読ください。

▲小倉駅からモノレール(14分)に乗り守恒駅で下車し、徒歩10数分で当館に着きます

創業者・濱村和明の経営哲学

濱村和明(はまむら かずあき)氏は、福岡県北九州市の「株式会社・不動産中央情報センター」と「住宅型有料老人ホーム ・ゆうゆう壱番館」の創業者です。旧若松市役所の行政出身であった濱村氏は、「企業は公のため、地域のためにある」という強い信念のもと、1974年(昭和49年)に起業しました。その経営哲学は、「不動産業界への貢献」と「地域活性化」という2つの企業使命に集約されています。

①不動産業界の質的向上と社会的地位の確立
創業当時、不動産業界に対する世間のイメージは決して良いものではありませんでした。濱村氏は「子どもに職業を聞かれたとき、親が胸を張って言えるような業界にしたい」という願いを抱き、不動産業を単なる仲介業ではなく「サービス業」として再定義することに尽力しました。全国に先駆けて「賃貸管理業務」を導入し、家主さまの業務を完全代行する累積型の経営モデルを構築。さらに、自社のノウハウをオープンに共有する「賃貸管理実務研修」を全国の同業者向けに展開したのも、業界全体の質を底上げしたいという哲学の表れです。

②「公」に資する地域密着の事業展開
官営八幡製鐵所で栄え、公のために尽くす風土が根付いていた北九州の街を愛し、一貫して地域社会の課題解決に挑み続けました。特に「高齢化」を見据えた先見性は際立っており、1990年代には旧建設省(現・国土交通省)の高齢者向け優良賃貸住宅制度の検討委員に、民間から唯一選定されたといいます。同社が手がけた物件は全国第1号認定を受け、シニア住宅のパイオニアとなりました。

③「高齢化・国際化・情報化」を見据えた21世紀型企業の追求
安心・安全・快適な住空間を提供し、目先の利益を追うフロー型ではなく、地域に根差し顧客と末永く信頼関係を築く「ストック型(管理ビジネス)」を志向した点も、濱村氏の哲学「先義後利」ならではです。

こうした志と経営理念は、現在の不動産中央情報センター(現代表・濱村美和氏)にも見事に引き継がれ、地域に寄り添う「くらしサービス業」として今も息づいています。

▲手前からABC棟、玄関はB棟にあり、右側には青木医院が隣接しています

「ゆうゆう壱番館」誕生の原点

ゆうゆう壱番館は、「健康な高齢者のための住宅」という発想を原点に、昭和63年(1988年)に設立されました。きっかけは、不動産業の現場で濱村氏が目にした、一人暮らしの高齢者が寂しそうに暮らす姿だったといいます。当時、高齢者が安心して「自分らしく」「ゆうゆう自適に」暮らせる民間施設はほとんどなく、「ないなら自分たちで作る」という強い情熱から誕生したのが「ゆうゆう壱番館」でした。

施設では毎年、逝去された入居者を偲ぶ合同追悼慰霊祭「わらびの会」が開かれています。生前の濱村氏は、物故者お一人おひとりのエピソードを自ら読み上げ、スタッフや遺族の心に故人の表情が思い浮かぶほど、一人ひとりの人生に深く寄り添う姿勢を貫いていたそうです。

和明氏の逝去・引退後、経営は妻の濱村泰子さん(現・ゆうゆう壱番館代表取締役会長)、そして娘の濱村美和さん(不動産中央情報センター代表取締役社長)へと継承されました。泰子さんは「いつまでも元気で、安心して自分らしく暮らしてほしい」という創業者の想いを直接受け継ぎ、「あんしん」「快適」「自助自立のサポート」を現場の理念として浸透させています。美和さんは「企業には変えてはいけないもの(創業の精神)と、変えねばならないもの(時代への適応)がある」とし、父の「公利公善」の精神を守りながら、「不動産業から、くらしサービスへ」という新しい方針を掲げています。

▲館内に設置されている全館模型

体育会系だった創業期から、社員を大切にする経営へ

不動産中央情報センターは1974年、わずか3人でのスタートでした。1988年にはゆうゆう壱番館を設立し、自社の賃貸管理ノウハウを同業者に伝える「賃貸管理実務研修」も開始。自社の利益だけでなく、業界全体の底上げに貢献しました。1990年代後半には、創業者の専門性が評価されて国の検討委員に選定され、同社の物件が国内第1号認定を受けるなど、名実ともにシニア住宅のパイオニアとなっていきます。

創業社長の濱村和明氏は、情熱的で凄まじいエネルギーの持ち主だったといいます。当時の不動産業界の例に漏れず、会社は「超体育会系」のカルチャー。売上や業績が何より重視され、夜遅くまで働くことが美徳とされるハードな労働環境で、女性スタッフが結婚や出産を機に一線を退くケースも後を絶たなかったそうです。

2007年、創業社長の逝去などを経て、娘の濱村美和さんが34歳の若さで4代目社長に就任します。阪神・淡路大震災での被災や、タイでのボランティア経験で培った「人をどれだけ深く想いやれるか」という利他の精神がバックボーンでした。「お客様を真剣に想いやってもらうには、まず会社が従業員を信頼し、大切にしなければならない」と考えた美和さんは、数字で縛る体育会系マネジメントを改め、社員が安心して働ける環境づくりへと舵を切ります。

女性社員の離職を防ぐためのプロジェクトを社長直轄で立ち上げ、育児・介護休業規定を整備した結果、産休取得率・復帰率はほぼ100%、有給休暇取得率も高水準に。単に部屋を仲介・管理するだけでなく、就学、結婚、出産、そしてゆうゆう壱番館に代表されるシニアライフや相続まで、「人生の節目に寄り添い、街の魅力を高める企業」へと定義をアップデートしていったのです。創業者・和明氏の「地域や公のために尽くす」という熱いDNAを受け継ぎつつ、次世代の美和さんが「働きやすさ」という現代の視点を掛け合わせたことで、今も北九州で愛され続ける企業になっているのだと感じました。

▲入居者さんの写真展が催されていました

不動産業から、地域の「くらしサービス」へ

現在も、創業者の「地域のために」という哲学を土台に、先進的な取り組みが続けられています。

  • 多世代交流:ゆうゆう壱番館の広い居室(2LDK)を「シェアルーム」として、北九州市立大学と連携し、現役大学生に格安で貸し出す試みが行われています。日常の中で自然な世代間交流が生まれ、学生にとっては生活費を抑えながら地域貢献を学ぶ場に、入居者にとっては若いエネルギーをもらえる場になっているそうです。
  • 介護予防への新技術:指先を使い瞬発的な判断を求める「eスポーツ」を施設内に導入し、認知機能や運動機能の維持に、楽しみながら取り組んでいます。
  • 行政との連携:北九州市が推進する「生涯活躍のまち(CCRC構想)」のモデル地域として、首都圏などからの移住を検討するシニア層に向けた相談会や交流イベントを実施しています。

創業者が「高齢者の寂しさを何とかしたい」という想いから作ったゆうゆう壱番館は、今や「大学生とeスポーツを楽しみ、行政と共に街の未来を作る拠点」へと進化を遂げていました。

▲部屋は広々として収納場所も大きいです

改めて見る、ゆうゆう壱番館の暮らし

介護施設という枠組みではなく、「元気なうちから住み替える、安心で自由な住まい」という発想が根底にあります。プライバシーを尊重したマンション仕様の居室は17タイプあり、キッチン・浴室・トイレが各戸に揃い、使い慣れた家具を持ち込んで自分らしい空間を作れます。グランドピアノのあるロビー、本格的な大浴場(岩風呂)、スポーツルーム、テニスコートなども完備。商業施設や病院が徒歩圏内に揃う立地で、基本的には門限などの縛りもありません。

各居室には24時間対応のナースコールが3カ所と見守りセンサーが備わり、看護師が常駐して日常的な健康管理にあたっています。将来介護が必要になっても、住み替えることなく併設の訪問介護サービスなどでサポートを受け続けられる仕組みも整っています。管理栄養士による健康的な食事は和食・洋食を気分で選べ、コンサートや寄席、バスハイクなど、社会や仲間とつながる機会も豊富です。

▲テニスコートは地域の学生さんたちも使うそうです

まとめ

ゆうゆう壱番館から届いた資料には、入居者さんへのインタビュー記事が10本ほど収められていました。妙に胸に刺さる内容で、一気に読んでしまいました。高齢者の不安や心配、孤独の寂しさ、ご家族の気持ち、家庭や地域が抱える問題――そうしたことをオーナー自らが知り尽くしておられるからこそ、これほどまで心の行き届いたサービスが生まれるのだと感じました。

創業者・濱村和明さん、そして泰子さん、美和さんへと受け継がれてきた経営哲学の片鱗をお伝えしましたが、少しはご納得いただけたのではないでしょうか。実際に体験宿泊すると、その感動で心が清々しくなりました。ぜひ皆様も一度体験されることをお勧めいたします。

ゆうゆう壱番館の宿泊体験、そして創業者・現経営者の哲学を学んだことで、今度は「老人ホーム」という存在そのものの世界史と日本の歴史、そして「生老病死」「老いることの苦しみ」「福祉の原点」について、もっと知りたくなりました。

次回のブログでは、その片鱗をお届けしたいと思います。『「老人ホーム」の世界史・日本史をたどる|釈迦の「生老病死」⑥』興味のある方はご覧ください。

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ユルバ

みなさま、こんにちは ♪♪
私は地方に住む70代の、ゆるいおばあちゃんブロガーです。
築30年のボロ戸の我が家をリフォームしたことをきっかけに、ブログを始めてみました。
それから年寄りの悩み、旅、暮らし、健康、心に浮かぶことなどをつらつらと書いています。
月に5記事を目標に、4年目を迎えナント”チリも積もれば山となる”260記事を超えてしまいました。
何か一つでも皆さまのお役に立てたら嬉しいです。
よろしくお願いします(^^♪

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